11月13日、福岡市の舞鶴公園で開催された「さよなら原発 福岡集会」にカミサンと一緒に参加してきました。集会には九州各県、山口県などから15,000名以上(主催者発表)が参加して大いに盛り上がり、集会後、九電本社前向けなど、3コースに分かれて福岡市内をデモ行進しました。しかしTPP問題では、多くの国民・団体・自治体が反対したり、慎重審議を要求しているのに、交渉参加を表明した首相を面の当りにすると、脱原発を実現するには、さらに大きな力が必要と思ったところです。
さて、「原発維持派」のよりどころのひとつは、「原発の発電コストは他に比べて安い」という「コスト論」ですが、原子力委員会は11月8日、「今回の原発事故をふまえ、将来の事故に備えると、原発の発電コストは1KW当たり最大1.6円上昇する」との試算を発表しました。これは原発のコストが6.9円になることを意味し、液化天然ガス5.7円、石炭火力6.2円には及ばないものの、石油火力10.7円、一般水力11.9円(いずれも1KW/時間 当り)より安いと、原発の優位性をあくまで強調しているようにも思われます。
しかし、立命館大学の大島教授は、5.3円としてきた2004年のコスト計算そのものが、設備稼働率・耐用年数・財政支出・バックエンド費用などが正しく評価されていないといい、1970~2007年の電力会社の「有価証券報告書総覧」をもとに計算すると、原発8.64円、火力9.80円、水力7.08円、一般水力3.88円、揚水51.87円になると説明しています。
今回はじめて知った「揚水」の揚水発電ですが、原発は出力を容易に調整できないため、捨てられる夜間電力を使って、川の水をいったん高所ダムにあげ、必要な時間に下のダムに落として再発電する施設で(このため一般水力のコストが異常に高いのです)、通常原発を補うために設置されます。したがって、これによるコストを原発の発電コストに加えると10.13円になり、原発は電源別コストで最も高くつくと大島教授は指摘。また、環境NGOの田中優氏によれば、揚水発電ダムで再発電できるのは、最大でも70%くらいで、ムダが多く、山奥の清流地にダムを二つ作るので、自然破壊ははなはだしく、設置費用も原発発電所と同じくらいかかるといっています。
登山愛好者、なかでも沢登り愛好者には聞き捨てならぬことです。