登山黎明期、「日本アルプスの父」といわれるウエストンが上高地をめざした、松本市郊外の島々から徳本峠(2,140m)への道。近年、徳本峠から登山道が切り開かれるまで、一般登山者を寄せ付けなかった2,645mの霞沢岳。私は両方とも登ったことがありませんでしたが、数年前から、山登りに熱をあげている息子が、この夏どうしても登ろう、しかもテント持参でと誘うので、腰をあげました。
7月24日午前6時40分、幕営用具は息子が持っているとはいえ、肩に食い込むザックを背負って島々をスタート。島々と徳本峠間16㌔。峠の直近まで、水勢がごうごうと衰えない川べりにつけられた細いトレイル。水辺から離れるフィニシュを除けば、高度差1,410mと距離に比して穏やかで、巨木の森に付けられた、清々たるルートを約9時間歩き、15時20分、ようやく徳本峠に到着。明神と穂高連峰に展望が開けているはずですが、残念ながら、ガスで下半身がうすくみえるだけです。
翌朝、4時起床、4時40分スタート。薄雲は延びていますが、まずまずの日和です。4時間近くかけて、ぬかるみがちな登山道の、200m~300mのアップダウンを3度繰り返し、ようやく山頂を間近にのぞむK1到着。ここからやせ尾根を歩いて、9時40分、とうとう山頂に着きました。明神と穂高を間近にのぞみ、360度さえぎるものない展望です。登りの苦労も一気に吹き飛びました。
しかし、下りは上り以上の難儀つづき。息子はひと足早くテントを撤収するといって先行し、私はひとり、息子に1時間くらい遅れて、13時30分ごろテン場着。缶ビールを1本飲ませてもらうと、先行した息子を追って、明神から小梨平キャンプ場を目指します。朝のスタートから約12時間の16時30分、ようやくさわやかな風が渡り、生ビールが飲め、入浴もできる、森の中の快適なキャンプ場で、苦しい歩きと、重いザックから解放されました。
翌26日、息子は3時に起きて焼岳に出かけましたが、私はテントキーパーに徹し、行き交う登山者や観光客を見学したり、隣に設営した群馬と神奈川の登山者とおしゃべりして過ごし、18時には八ヶ岳山麓の「北八ッヒュッテ」に戻り、霞沢岳登山にエンドマークを印しました。
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